刃物を研ぐ
最近はスマホやパソコンなど便利なものが増える一方で、日常生活の中で「刃物を研ぐ」こともなくなりました(-_-)すっかり今は、刃物は使い捨ての時代です。昔は自転車で研ぎ屋さんが近所を回っていた時代もありましたが、、。彫金の仕事にもタガネと呼ばれる刃物は欠かせません。こちらは使い捨てというわけにはいきません。市販品もあるのですが、刃先が欠けたり、なまったりしてしまうので、自分で研げなければ仕事になりません
タガネさえ研げれば、彫金することはそんなに難しくありません。彫刻よりも刃物を研ぐことに時間がかかったりします。しかも鉄には、軟鉄や鋼鉄、ハイス、超硬など、さまざまな種類があり、用途に応じて自分で選択しなければなりません。
刃先がピカピカだと彫金した彫り跡もピカピカになります、写真は20kゴールドのリングにダイヤモンドを5個、事前にシコシコト研いだタガネを使って彫り留めしています。
私たち職人の世界でも、若い世代の人は「刃物を研ぐ」ことはあまりしません。そもそも道具をあまり大切にしないような気がします。「道具に魂を込めた」のは、きっと昔の日本人だけだったようです。「刃物を研ぐ」という日本語は、だんだん使われなくなり、そのうち死語になっていきそうな気がしています。